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 50+(フィフティプラス)のための健康講座Vol2. 更新日:2007.2.14
50+のための健康講座
50歳を過ぎたら心身ともに健康に注意して明るく仕事に取り組み、趣味やレジャー、スポーツなどを楽しみましょう。
特に生活習慣病に気をつけましょう! 食生活、運動不足、飲酒、喫煙、ストレスなどが糖尿病や高血圧症など生活習慣病の進行に深く関わっていることが分かっています。
            生活習慣病が合併すると、急性心筋梗塞や脳梗塞など生命に
            かかわる怖い病気を引き起こします。「50+おおいた」
            では、大分県立病院に協力していただき
            「50+のための健康講座」を連載していきます。

              第2回は「脳梗塞 こんな症状に注意を!」です。
              お話しは脳神経外科部長の吉岡進さんです。
第2回 脳梗塞  こんな症状に注意を!
 
Q: 脳の血管に関する病気。そのなかで脳梗塞とはどんな病気でしょうか?

A: はじめに、脳卒中は、わが国の死因の第3位を占め、患者数は年々増加しており平成11年の厚生労働省患者調査では147万人に達しています。多くの人が脳卒中になることを心配し、発症後遺症に悩む患者・家族が多く、寝たきり高齢者の4割、要介護者の3割を脳卒中患者が占めています。総医療費の8%、高齢者医療費の13%が脳卒中に費やされ、医療費・介護費という観点からも社会的負荷の極めて大きな疾患となっています。(山口武典;日本脳卒中協会ホームページより)
脳卒中=脳血管障害は「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」「その他」に分類されます。
  ・脳梗塞    脳内の血管を流れる血液が不足
  ・脳出血    脳内の血管が破綻して脳の中に出血

          
  ・クモ膜下出血 脳動脈瘤が破れてクモ膜下腔に出血
          
  ・その他

  【 脳梗塞の分類 】
    脳に流れる血液が不足する脳梗塞は次のように分類されます。
    1. アテローム血栓性脳梗塞(脳血栓)
      頭蓋内や頭蓋外の大血管の粥状硬化性病変(アテローム)を基盤として生じる脳梗塞
            

    2. 心原性脳塞栓
      心臓内に形成されたり、心臓を経由した血液のかたまりが脳血管を閉塞することで生じる脳梗塞。基礎疾患の約70%が、非弁膜症性心房細動(NVAF)

            
    3. ラクナ梗塞
      脳内の深部穿通動脈の血管障害による脳梗塞
    4. その他の脳梗塞
      もやもや病、脳動脈解離、血管炎、血液疾患 他を原因とする脳梗塞

      4枚の図は、Netter FH著 “The Ciba Collection of Medical Illustrations. Volume 1 Nervous System”より転載


Q: 脳梗塞(発作)の症状についてお聞きします。

A: 症状は次のように多様です。
  • どの血管が閉塞するかにより、脳のどの部位が障害されるかが決まる
  • 障害された部位の脳が持っていた機能が低下する
  • 症状の軽さ、重さは、障害された脳の持っていた機能、障害された脳の大きさ、障害の速度、血流低下の程度などに左右される

    脳卒中の5大症状は下記のとおりです。これを覚えておくことは非常に大切です。

    ― 脳卒中の(警告)症状(AHA アメリカ心臓病学会)―
  • 突然、顔、手、足に麻痺または、しびれが生じる。特に、体の片側に生じる。
  • 突然、錯乱状態になったり、しゃべりにくくなったり、他人の言うことが理解できなくなる。
  • 突然、片側あるいは両側の目が見えにくくなる。
  • 突然、歩きにくくなったり、めまいやふらつきが生じたり、体がスムーズに動かなくなる。
  • 突然、原因不明の激しい頭痛が生じる。

                  (別冊NHK きょうの健康 脳卒中 より引用)


Q: 無症候性脳梗塞とは?

A: 無症候性脳梗塞の定義は、画像検査(MRI、CT)で脳梗塞を認めるが、それによる症状が現在も過去にもないもの。
無症候性脳梗塞を有する場合は、症候性脳梗塞(症状がある脳梗塞)をきたすリスクが非常に高い。よって、無症候性脳梗塞を生じた原因・病態を充分に検索し、それに応じた治療(多くは危険因子の治療)を行う必要があります。
* 画像診断の進歩と普及によって発見頻度が増加しています。


Q: 一過性脳虚血発作とはどんな症状をいうのでしょうか?

A: 一過性脳虚血発作の定義は脳梗塞(脳血管の閉塞など)と同じ状態が生じたが、短時間で自然開通したため、症状も一時的で完全に消失したものです。
   脳梗塞と同じと考えて、ただちに入院して治療を開始する必要があります。理由は、一過性脳虚血発作の後に大発作(脳梗塞、症状が後遺症として残るもの)をきたす危険性が非常に高いからです。
               ↓
“脳梗塞の前触れ”一刻も早く入院し、治療を始める必要があります。


Q: 脳の血管が詰まった脳梗塞の治療は緊急性が要求されると思いますが?

A: “脳梗塞の治療は時間との勝負”脳に行く血液が短い時間途絶えただけで、その部分の脳は働きを停止し元の状態に戻れない脳梗塞をきたします。ですからそうなる前(通常は3時間以内)に脳の血流を回復することが脳梗塞の根本的な治療になります。
 脳の血管内で詰まった血液のかたまりを溶かすrt-PAという薬が2005年10月に日本でも承認されました。この薬は、症状出現(血管がつまって)から3時間以内に投与を開始しなければ、効果がないばかりでなく重篤な合併症(脳出血)を引き起こします。通常、病院に到着後、種々の検査を行い、検査結果を総合してこの薬が使用可能かどうかを判定します。このため、脳梗塞の症状が出現して2時間以内に治療可能な病院に到着することが必要となります。米国では、このことを広く一般市民に知らせるために“ブレインアタック・キャンペーン”(time lost is brain lost)が マスコミも協力して行われています。


                 MRI検査機(大分県立病院)
   
                     MRI画像


Q: 後遺症、機能障害についてお尋ねします。

A: 後遺症、機能障害は脳のどの部位が梗塞になったかによって異なります。その程度は梗塞の大きさなどによって異なり、百人百様です。

Q: 障害はどこまで治りますか?と家族から質問があると思いますが。

A:

明解な答えはありません。百人百様です。
  「きちんとしたリハビリを行わないと、障害の程度がもっと悪くなる」
  「機能回復のためにはこのようなリハビリテーションの方法が適してい
   ます」
  「決してあきらめずに根気よくリハビリを継続していくことが何よりも
   大切です」
  以上のようなことが言えます。
【 リハビリテーションの目的は次の通りです 】

    1. 後遺症、機能障害の程度を軽くする
    2. 残された機能を生かして、日常生活(社会生活)に復帰してもらう
    3. 障害を持った人が人間らしく生きるための回復手段

 そして、重要なことは

  • 脳梗塞で入院した時から、リハビリは始まる
  • 2次的合併症の予防(特に廃用症候群の予防)
    筋肉は1週間使わないと15%衰えます。

 家族のみなさんに協力してもらいたいことは

    1. 病気の段階に応じて、患者さんを心理面でサポートする。
      (例えば、病気の受容を手助けするなど)
    2. 患者さんの病気について、薬について、充分に理解しておく。
    3. 退院後=在宅リハビリの段階では
      @ 患者さんが自分でできることは手伝わないで見守る
      A 種々の公的福祉サービスを活用する。
      B 御家族が頑張りすぎない(上手に手抜きする)。


Q: 最後に脳梗塞の予防についてお聞きします。

A:

はじめに、脳卒中(脳梗塞は脳卒中・脳血管障害のひとつ)になりやすい要素=危険因子にはどうしても避けられない修正不能な因子があります。加齢(高齢)、女性より男性に多い、白人より日本人に多い、家族歴/遺伝因子などです。
一方、修正可能な(病状や生活習慣を改善すれば修正できる)危険因子としては、高血圧、喫煙、糖尿病、心疾患(心房細動など)、高脂血症、肥満、多量飲酒、運動不足、栄養のかたより、覚せい剤・麻薬など薬物乱用、経口避妊薬、ホルモン補充療法、無症候性頚動脈狭窄などが挙げられます。

脳卒中の予防
A) 生活習慣の修正(一次予防)
禁煙; 禁煙で1年以内に50%、2〜5年で正常者と同じレベルまでリスクが低下する。
運動; 有酸素運動を1日30分する。
食事; 野菜や果物を摂取(野菜350g/日)。
魚、高繊維食、カリウム、カルシウムを多く摂取する。
脂質、コレステロール、塩分、カロリーを制限する。
飲酒; アルコールは1日に20gまで。
(日本酒1合、ビール大瓶1本など)
 


B) 危険因子の改善(二次予防)
  高血圧、糖尿病、心疾患(心房細動など)、高脂血症などの生活習慣病
  を早期に発見して治療することはとても大切です。

C) 誘因の除去
  入浴、脱水、感染症などの誘因(脳梗塞の直接の引き金となりやすい)
  に注意する。

 

 


 ― 脳卒中(脳梗塞)予防の大切な点 ―

  • まず予防;生活習慣の是正 危険因子の排除 誘因の除去
  • 前触れを知る → 早めの予防策
  • もし起こったら 一刻も早く病院へ
            (time lost is brain lost)

 


最後に「 脳卒中予防10か条 」を実践して下さい

    1. 手始めに 高血圧から 治しましょう
    2. 糖尿病  放っておいたら 悔い残る
    3. 不整脈  見つかり次第 すぐ受診
    4. 予防には タバコをやめる 意志を持て
    5. アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
    6. 高すぎる コレステロールも 見逃すな
    7. お食事の 塩分・脂肪 控えめに
    8. 体力に 合った運動 続けよう
    9. 万病の 引き金になる 太りすぎ
    10. 脳卒中 起きたらすぐに 病院へ
  日本脳卒中協会

取材/渡辺隆司

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