鏝絵(こてえ)の撮影・取材のため1月31日、大分県宇佐市安心院町(あじむまち)を訪れました。当日は3時間ほどかけて、安心院町観光協会の事務局長、糸長奎一さんに案内・説明していただきました。途中、鏝絵の制作を受け継いでいる永田知徳さんに偶然お目にかかり、安心院の鏝絵の技術や現状について貴重なお話を聞くことができました。
鏝絵は家や土蔵の壁などに描かれたレリーフのことです。平らに塗られた漆喰の壁に左官さんがコテを使って浮き彫りにしたものです。 材料は石灰、海藻苔などを練りあげたもので、色付けをする顔料には古くから伝わる岩絵の具が多く使われています。 ←安心院町から見た由布岳 大分県内には600点を超える鏝絵が杵築市や日田市などに分布。このうち、安心院には明治時代の初めからつくられた鏝絵が70数か所にあります。鏝絵が大分県内に多くある背景には左官職人が多くいたことと、漆喰の材料の石灰がとれる津久見の存在が大きいといわれています。 安心院の鏝絵は恵比寿、大黒など七福神や龍、虎、鶴・亀など幸福を招く祈りがこめられた図柄が目立ちます。なかには、大黒が福禄寿(外法)のツルツル頭を散髪する姿を描いたユーモアたっぷりのものもあり楽しませてくれます。